東海道放浪紀行

夏に友人と北海道で長距離ドライブをすることになったので、その足慣らしに静岡と埼玉に行ってみることに。
体力のある若い体を活用して、果敢にも金曜(夜まで授業)夜出発→月曜(1限から授業)朝帰還のツアーを敢行。

2017年5月20日
学校から一旦帰宅し、荷物の入れ替えとシャワーを20分で済ませて出発。
思ったより時間があったのでシャワーを浴びることに成功。もう暑い時期なので、シャワーだけでも浴びるのと浴びないのでは大違いです。



今回はトヨタ・ヴィッツをレンタル。
今風の顔つきだと思ったら、2013年式とかなり新しい車。頼もしい。



パネル類もすっきりした印象。ヴィッツは親戚や知り合いが乗ってたけど、もはや知らない車のよう。

今回は4人なのでちょうど良いサイズ。
法令上は5人まで乗車可能だけど実質4.5人乗りなので、もしもう一人参加者が増える話が実現してたら完全にオーバーブッキングだった感。



今回は時間があるので、高速代節約(と名神集中工事回避)のためにR171を北上。
途中で人間の燃料補給のためにサイゼに入ってオリーブオイルを摂取。ドリンクバーはまた漏らしそうになったら困るのでやめときます。



車内でセルフカラオケ大会を開催したりしながら一般道をぼちぼち進み、日付が変わった頃に京都市内へ。

深夜0時でも四条通は相変わらず人とタクシーだらけ(寺町通なんかの縦の筋はさすがに誰もいなかったけど)。
ただでさえ車道が狭いのでこれぐらいがちょうど良いです。



ちょっと寄り道して岡崎方面へ。入ったことない京都市美術館を外から見学。
ほぼ真っ暗な上に三脚もないので、例によって置きバルブ。



平安神宮。夜は閉門してるので前だけ見学。
シャッタースピード6秒なのでかなり明るいけど実際はほとんど真っ暗。
夜中の京都は大きな通り沿い以外は静かで、意外と星も綺麗。
秘封倶楽部の時代の首都、京都はどうなんだろう。



平安神宮の大鳥居の横にあった、舞妓体験も出来るトイレ。中は虫だらけでやです。

時刻は既に1時前。そろそろ静岡へ向かいましょう。1時といえば初期案(西宮から高速に乗る常識的なルート)なら既に静岡県に突入してるはずの時間だし。
乗務員交代を行い、ここからは副操縦席に着席。4人運行なので、操縦士・副操縦士とも2時間おきに交代できるという素晴らしいサポート体制。



三条通に入って蹴上から地下鉄に沿って東進し、山科から国道1号線に合流。
そこからは延々東海道を辿って東へ向かうだけ。とはいえ、1号は途中山間部を通過するので、慣れない人や暇人以外は名神高速/新名神高速に抜けるのが適切。

土山から新名神に乗るほうが良いのでは?という提案をするも、「面白そう」という運転手の判断で下道へ。



甲賀市街地を抜けるといよいよ鈴鹿峠。天下の東海道とは言えど、こんな時間になると車もまばら。ましてや1号有数の難所ならなおさら。

やたら路面に一方通行って書いてあるし、ナビで見てたら上下の道の線形にえらい差があるなぁと思ったら、下り線だけが新規建設されたバイパスを利用してて、上り線は旧道の上下線ともに上り専用にしたものとのこと。
おかげで上下線分離に気付かなかった車が逆送する事故もちょいちょい起きてるらしく、今でも東海道の旅は命がけ(速くて安全な高速をご利用ください)



峠を越えて三重県内に入り、再びコンビニで乗務員交代とトイレ休憩。トイレ無し格安夜行バスと違って、いつでもトイレ休憩が取れるのが自家用車の強み。ただし安全性は未知数。

愛知県へ突入し、大高付近の高速道路を見上げて感動してると、まだ3時台なのに空が明るくなってきてびっくり。
5月の愛知でも4時前から明るくなるんだし、夏至の根室では2:30から夜が明けだすというのも納得。是非一度見に行ってみたいところ。



明るくなってきたので心折れて岡崎からやっと高速に進入。
夜がどんどん明けていきます。もはや御前崎で日の出を見るどころじゃない。



相良牧之原のICを出るところだけ記憶があるけど、次に気付いたらすっかり明るくなって牧之原台地の中を走行中。
海が近いからか台地の上は濃霧。霧の中に風力発電の風車が大量に浮かんでてなかなかかっこよかったけど寝起きで撮影失敗。



霧が晴れたころにようやく御前埼灯台に到着。
ちょっと室戸っぽいけど、四国の岬と違って岬の先端まで住宅街が広がってるので逆に新鮮。コンビニもいっぱいあるし。



灯台の横の階段を降りて海辺へ。
灯台のある地点の標高は30mほど。M9クラスの東海地震が起きても直接津波を被ることはなさそうだけど、周囲に高い建物がないのでちょっと不安。
避難タワーも周辺に見当たらないし。



海岸で海洋生物ウォッチング。潮溜まりに大量にいるイソギンチャク以外は特に生物の気配は無し。
あとはゴムの紐のようなウミソウメンの卵が砂浜に落ちてたぐらい。



まるで鬼の洗濯岩。灯台のある部分は切り立ってるけど、海中は磯が沖合まで続いてるらしい。
そのせいか外洋に面してる割に海は穏やかで瀬戸内海のよう。でもこの先は間違いなくオーストラリア。



続いて浜岡砂丘。サーフィンが盛んなのか早朝からサーファーだらけ。
海側に傾斜してるのは、内陸の集落に砂が飛ばないよう砂が堆積するように垣を設け、人工的にちょっとずつ海側に傾斜するように改造した結果。



砂丘の上にはコウボウムギやハマヒルガオなど砂地でも生きられる植物だらけ。
朝露で濡れてて朝日に輝いてるのが非常に綺麗。



砂丘から1kmほど離れたところに見えるのは浜岡原発の建屋。原発をこんな間近で見たのは初めてなので感動。
震災後ずっと稼働してないのでその間の維持費とかがヤバそう。
原発の代わりに、御前崎に吹き荒れる強風を利用して必死で電気を作ってる風力発電所の風車は、無風のためどれも静止中。がんばれ。



駐車場はネコだらけ。めちゃくちゃ懐いて来るけど換毛期+足が砂まみれで、登られた後はズボンが砂まみれに。



周辺にはチェーン飲食店や家電量販店もあってさすが原発の街。
違法駐車すると経済制裁を食らう恐怖のすき家で早速朝食を摂りましょう。松屋派の友人をすき家に寝返らせることに成功して満足。



海辺を快走。というか暑い。
さっき御前崎着いて車出たら寒すぎて凍死しかけたのに、太陽が昇ると一気に日光が照りつけて猛暑に。

しかも後部には冷房の吹き出し口がないらしく、日向に放置された後に後ろの席に座るのはなかなか地獄。
それでもまだ5月なので、ちょっと空気を入れ替えればかなりマシになりますが。



1時間しか寝てないので後部座席の面子と一緒になって助手席で居眠りしてしまい、運転手に孤独な戦いを強いてる間に焼津へ。
大崩海岸を見たいのです。

県道416号線を用宗方面へ走ってる途中で横道を発見したので降りてみると、そこは断崖絶壁の小浜集落。
焼津方面からこの集落へ通じる道は2013年に台風で陥没し、3月に新しく浜当目トンネルが開通したばかりというほどの断崖絶壁っぷり。
廃墟が目立つものの、海が見える高級旅館もあるようでいつか泊まってみたいところ。ガチ高級旅館だけど。



集落への道の分岐点にある「たけのこ岩トンネル」の脇から伸びる廃道。
トンネルは1991年開通とのことなので、この道が廃道になって30年も経ってないということに。この先はどうなってるのかと位置を変えて覗いてみると…



この通り、現役の電柱が立ってるものの路盤は崩落して消失。
ヨッキれん氏のレポートによると、廃道部にはトンネル開通の5年前に開通した橋梁があるということで、どうも1980年代後半に何らかの要因で崩落した模様。

ということで、ググってみるとどうやら1989年2月の雨でバス停もろとも崩落したとのこと。
当時も崩落後トンネル開通まで通行止めが続き、浜当目トンネルの件と同じような状況。



「大崩海岸」という名前の通りあまりに崖崩れが頻発するので、各所にロックシェッドが設置。
ちょうどこのトンネル付近から崖の下を見ると有名な東海道本線の旧線のトンネルが見えるものの、今回は車で通過したので確認できず。代わりに遠くにいよいよ富士山の姿が。
それにしてもその海沿いを走る旧線ですらほとんどの区間を隧道にせざるを得ないってどんだけ難工事だったのか。その隧道も崩壊してるし。



これまた有名な、1971年に旧道の上の崖が通行中の車を巻き込んで道路ごと崩落した現場(奥の緑で覆われている部分)
今では現場を迂回するために、まるで親不知のような海上橋が建設されています。

ロックシェッドは事故の2年前に崖崩れを想定して設置されていたにも関わらず、それを押し潰すほどの大崩落が起きたというから恐ろしい。
当然ここまで走って来た区間でも同じような崩壊が今後起こる可能性は十分あり(現に2ヶ所が崩落してトンネルに転換されてる)、最終的に全部トンネルか海上橋になるのではないかという勢い。
その上、毎年台風が到来して高潮に浸食され、大地震と大津波のリスクも高い地域。このルート自体が放棄される可能性も無きにしも非ずと言ったところ。



用宗からは普通の市街地になり、すぐに静岡市中心部に到着。
静岡城跡を見ようとするも駐車場がないので石垣だけ車内から見学したり、さくら棒が売ってないかとスーパーを探訪。

静岡鉄道の踏切に引っかかったので新車が来ないかと思ったけど、そう上手く行くものでもなく。静岡鉄道も近所までよく来るのに乗らない路線の一つなので、そろそろ今年あたり攻めてみたい。



目の前には富士山。今日は空気が霞んでるのかうっすら。
頭しか見えないとはいえ、これだけの高さの独立峰がいきなり現れるのはなかなか壮観。



観光客で賑わう三保の松原。昼になっていよいよ太陽も高く昇り、日なたはかなり暑いのに松林の中は涼しくて松は偉大。

三保の松原といえば羽衣伝説。
天女が衣を掛けた羽衣の松の初代の木は宝永噴火の時に海没し、今ある木は2010年に認定された最新の三代目「羽衣の松」。



肉眼だと富士山の頭(写真中央右の白いもの)もちゃんと確認でき、テンプレ的静岡っぽい風景。
BGMは53ミニッツの青い海。あの曲ほど海が似合う東方曲はありません。特に東海地方の風景。砂浜に座って無限に聴いていたい。



白波トップウォーターのPV風。水平線が丸いのはレンズのせい。
さすがに波もそこそこで、波打ち際は砂ではなく駿河湾の奥の富士川あたりから流れて来るのか丸い砂利だらけ。



死んだフグが落ちてたので救命(見殺し)。
近くにも既に腐敗が進んで破裂したフグが落ちてたけど、そういえば海辺に打ち上がってる魚といえばフグぐらいしか見たことない。
産卵のために海岸に来て打ち上げられてるのかも。ということはこれはクサフグか。



1号線と東名高速、東海道線が狭い海辺に集まる由比付近。
道を走ってるだけで次から次へと見どころが現れるので飽きません。静岡いいところ。



新富士川橋を通過。富士川に架かる橋梁の中では最も下流にある橋で、次が新幹線、東海道線、県道396号線、東名の順。

この辺りの地理感が捻じれて御殿場市が富士山の西北にあるような気がしてたけど、冷静に考えたら新幹線から愛鷹山の山麓に東名と新東名が通ってるのが見えるのでおかしい。
御殿場線も富士山を迂回してるのかと思ったけど、正しくは箱根を迂回してるんだった。



いきなり奈良交通のバスが見えたので何かと思ったら、中古のバスを販売してるディーラー。
最初観光バスの駐車場かと思ったけど、社名が消されてるバスだらけでバス版のビクタービル状態。道南バスのエアロクイーンから最新型のセレガまで揃ってますよ。



昼食時間帯の大混雑を避けて14時に最寄りのチェックポイント、さわやかにin。4か月ぶり。
当然富士錦店は初めて。土曜だからどうかと思ったけど意外と空いてて15分待ち程度。



地味に初めてのランチ炭焼きレストラン。スープとライス、カンパイドリンク付で1200円以下と、夜よりかなりお得(フェア中だったし)。
ソースは「ミックス」を所望し、さらに一部を塩コショウで賞味。なるほど、確かに塩コショウもかなり味OK!(Smooth Criminal)
あとソースは肉が熱いうちに掛けてもらった方が絶対良いと学習。



さらに東進は続きます。次は天城越えを求めて伊豆半島へ。
ある程度山深くなってきたと思っても、道沿いにはコンビニがちょいちょい出現するのでトイレも安心(お世話になりました)



浄蓮の滝。割と観光客が多かったので、空前の天城越えブームが来たに違いない。
滝の横は岩がえぐれて洞窟風で、周辺は鬱蒼とした南国風の森。そういえばここは既にフィリピン海プレートの上。植生も本土とは違う地域。



わさび沢も完備。ここ来るまでに九十九折りもあって天城越えベーシックセット状態。
地味に生きてるわさび実際に見たのも初めて。

江戸時代に静岡市の山奥で栽培されてた門外不出のわさびが天城に持ち込まれ、今では伊豆市の名産品に。
正直わさびが名産だとはあんまり知らなかったけど、筏場のわさび田は『静岡県の棚田10選』にも選ばれてるほどらしい。



浄蓮の滝とわさびを堪能したらいよいよ天城越え。
天城峠自体は道路の開通でできた新しい峠で、峠を越える国道414号線は現道旧道ともにトンネルで通過。

現道の新天城トンネルは1970年に開通。石川さゆりの天城越えが発売されたのが1986年なので、歌詞に出てくる「天城隧道」は多分現道の方のことを指してるのかと。
でも「面白そう」という運転手の判断で、舗装が剥がされて登山道と化してる旧道へ突入。



トンネル内はすれ違いができない程度の幅。灯りは申し訳程度の街灯だけ。
トンネルの入り口にはトイレがあったりとハイカー大歓迎感を出してるものの、地味に710mと長いので一人だと怖そう。



有名な河津七滝ループ橋。地震で崩落した道路を二重のループ橋に改築したもの。
山道がいきなりこんな立派な橋になるってよく考えたら凄いことだし、当時はかなり話題になってそう。
多重ループはショッピングセンターの駐車場を連想させる。ここも来てみたかったので満足。



ループ橋を越えて山を下って行くと河津に出るので、そこから海沿いを北上。
伊豆半島東海岸は温泉だらけ。アップダウンの激しい道を越えて行くと次々に温泉地が出現。
ついでに怪しい博物館の類も次々に出現。秘宝館と言い、伊豆ってなんでこういう系の施設が多いんだ?
あとやたらガストだらけだったのも謎。



本日のお宿、伊東市街地にある山望館にinn。
宿がなかったらネカフェ泊も想定されてた中、午前中になんとかここを押さえることに成功。今夜は布団で寝ることができます。
施設は多少古いけど埃っぽくないし、レトロな雰囲気で一泊3000円は嬉しい。



幸い伊東は伊豆半島の中でも大きな町なのでファミレスにスーパーにコンビニと充実。近所の閉店間際のスーパーで食料を確保し、せっかくなので目の前の岸壁で日没を眺めながら夕食。
涼しいし、夕焼けから星空まで眺められて景色もいいし、静かだしで外で食べたのは大正解。



周辺はそれほど光源がないので、見える星の数もそこそこ。
夜風に当たりながら星を観察したり、数分おきに飛んでくる飛行機をFlightraderで追跡したり、仮眠したりと思い思いに過ごして伊東の夜を満喫。

宿に戻って風呂入ってからグダグダしてたら睡眠不足のためにいつの間にか寝落ち。やっぱり人間4時間は寝ないとダメ人間。

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