丹後海空紀行

但馬空港にはJACが伊丹空港との間に一日二往復プロペラ機を飛ばしてる。
承知の通り但馬空港と伊丹空港の間の距離はめちゃくちゃ短く、そもそも(一応)同一県内。日本でも陸続きの県内の二点間を結ぶ路線は北海道以外ではここだけ。その短さに一体どんなもんなのかと気にはなっていたものの、近所だと逆に乗る機会がない。
値段的には大体前日まで早割の席が残ってるので8100円と比較的手軽に飛べるので晴れた日を狙ってそのうち行こうと思ってたところ、その計画を先輩に話した一週間後に「じゃあ来週行くか」ということになった。

2018年6月2日
・三宮→大阪空港国際北ターミナル 6:35 大阪国際空港交通 大阪国際空港北ターミナル行き

なるべく早く着きたいので珍しくリムジン利用。伊丹にリムジンで行ったのって初めて飛行機乗ったとき以来だから15年ぶりとか。
安いからいつもは阪急で行ってるけどリムジンは楽。倍額で寝て行けるなら朝早い時なんかはもうこれ使おう。



7:00過ぎには空港に着いて同行する先輩後輩と合流。乗る便が出るまではまだ1時間半。
今回チケット押さえて貰ったのが搭乗の5日前でもう窓側を指定できなかったので、早朝空港で直談判するためにこれだけ早く来たわけです。

手荷物預けの行列をスルーしてカウンターで直談判。

「窓側空いてる席ありますか?」
「一席だけ、あと非常口の座席でよければもう一席」
「両方お願いします」

というわけで後方の窓際一席と2列目の二席をGET。ありがたいことに後輩に非常口横の窓際を譲って貰えた。今度晩飯でも奢ってあげようと思う。
それにしても常に最低運賃が残ってるからガラガラなのかと思ったけどほぼ満席。思ったより搭乗率が良くてちょっと安心した。



伊丹名物パタパタ。よく残ってるなとは思ってたけど南ターミナルのは最近交換されたらしく、こっちもいつLCDになってもおかしくないので記録。
でも今時のLCDのアニメーションもあれはあれで空港特有の風景で割と気に入ってる。パワポとかで再現できそうだしやってみたい。



久しぶりの伊丹、いつの間にか至るところがリニューアルされてる。
ターミナル間を繋ぐ静かだしコーヒーの匂いがほのかに漂ってきてホテルの通路みたい。と思ったら大阪空港ホテルのエントランスだった。
でもいくらリニューアルしても便数に対するターミナルの小ささは如何ともし難いと思うんです。建物も来年で築50年だし、リニューアルじゃなくて改築をそろそろ。



とりあえず展望デッキ。
晴れを狙ったとはいえ期待以上の雲一つない快晴。まさに絶好のフライト日和。

787-9は伊丹では初見。777-300もいっぱいいるし、いつもとは違う風景で新鮮。



最近急激に数を減らしてるスーパードルフィン。一度乗ってみたい機体だけど残された時間はあまりないのでどうなるか…とか言いながらもう色々プランは考えてたりする。
晴れてるのはいいんだけど、晴れすぎて暑いので撤収。朝あんな寒かったのに太陽が照りつけてきて夏か。



あと保安検査抜けたらワンワの-300が通過。ガラス越しで証拠写真程度。

北タミから飛ぶのは初めて、というかJAL系列に乗るの自体が人生2回目。当然JACは初めてだし、この先そんなに乗るとも思えないエアライン。
それにしてもやたら空いてる。南はもっと混んでる印象だけど土曜だとこんなもん?



エンブラのでっかい模型があったので見に行ったらMRJでした。実機が現れるのは果たして。



搭乗は23番スポットから。ここだけターミナルの一番北のはずれの1階にあり、人気はなく静か。
それもそのはず、ここから出るのは朝晩の但馬便と昼の屋久島便だけ。完全にJAC専用スポットと化してるな。



ランプバスすげー古そう。ANAだと新しいエアロスターとかを使ってるけどJALは明らかに古そうな顔のバスだらけ。
調べたらどっちもキュービックで左のは89年式らしい。こんな顔したバスが公道走ってるの見たことないわ。意外な発見だった。
ちなみにこのランプバス、前扉の横の幕に飛行機の行き先が表示される。幕式で空港名表示するのって初めて見た。

搭乗が始まりバスでスポットへ。優先搭乗で半分ぐらいの人が先にバスに乗り込んだけど全員まとめて1台に乗せられるのでもはや優先搭乗の意味とは一体。でもバスには先に乗れますよぉ。特に嬉しくないですよぉ。



というわけで乗りますよぉ。今回はプロペラ機に乗りますよぉ。
ダッシュ8ですか?いやいや。
サーブですか?御冗談を。

1994年の但馬空港開港以来使われてきたSAAB340は4週間前の5/6で退役。代わって翌日から但馬線に投入されたのは去年からJACが導入を進めるATR42-600。
そう、今回はまだ日本では数少ないATR42-600に搭乗するのである。しかもシップは今年1月に登録されたばかりの日本で二番目に新しいATR。つまりJAC通常塗装の初号機。

・伊丹空港→但馬空港 8:45 JA03JC JC2321便 但馬空港行き 2D



機内に入ると流れるI will be there with you。これですよこれ、聞きたかったJALな音の風景。
機体はさすがにダッシュ8並みに狭いけど、思ったほど短くもないという印象。観光バスのちょっと狭い版みたいなイメージ。



2Dは非常口の横。というか2列目でもプロペラの横ぐらいなので、正直ほとんどの席で機窓がエンジンの排気の影響を受けることになるのはちょっと難点。
ATRの1列目はCD席しかなく、しかも進行方向と逆向きという独特の配置。
向かい合ってるとはいえ、膝を軽く曲げていれば向かいの人と足が当たるようなことはない程度には足元のスペースが取ってある。

乗客が乗り終えるとエンジンスタート。足元から直に伝わってくるエンジンの振動と後部の扉から聞こえる音はこのクラスの機体ならでは。プロペラって結構パッと回り始めるのね。
あと走りがなんか車っぽい。大型のジェット機だといつの間にか動き出してるけど、割と急発進で面白い。



それではテイクオフ。これまたジェット機よりも急加速な気がする。



浮いた。加速は急だったものの、離陸時の下向きのGがほぼなくてあの意識が飛んでいくような独特の間隔がなくて嬉しいやら悲しいやら。



一旦南にひねって武庫川の上を海へ。左下には西北の街と阪急の車庫、奥には神戸の街並みや明石海峡大橋。



三田方面。右上に向かって伸びるのは3月に開通したばかりの新名神の西端区間。山間の沿線にある茶色いのが宝塚SA。
どこにあっても目立つ高速の線形をある程度覚えておくと空から現在地を捕捉するのに役立つ。



福知山線沿線を一直線に辿っていくのかと思いきや、一旦西脇を通過して播但線へ。
プロペラ機とはいえ、車で1時間以上掛かる道のりをわずか数分で横断。単純に速度が速い以上に海や山などの物理的な障害がないというのが航空機の強み。

霞む深い山々。ジェット機より巡航高度が低いこともあって見下ろすというより山の上から見てるような感覚だった。



で、ベルトサインが消えて飴を配り始めたと思ったら5分も経たずベルトサイン点灯。この短区間でサービスはさすがにきついよなぁ…

山すれすれの所を何度も飛び越えて降下。最後の山を越えると一面の田園地帯が広がり、まるで広大な鏡のよう。この時期のフライトはこういう楽しみがあったのか!



ドスンと降りたかと思うとこれまた急減速。これ↑がその瞬間だけど横向いて写真撮ってたから体が前に放り出されそうになってヒビる。
そういやダッシュ8もこんなんだったし、どうもプロペラ機はジェット機よりハードな動きするものらしい。



そんなわけで実質フライト時間22分、但馬空港に到着です。思った以上に短かった。てか、ここ地味にどうでしょうで出てたな。大泉洋がヘリを降りてトイレに駆け込んだあのシーン。
「彼も一生懸命作ってたみたいですけど今ちょっと…トイレの方で…」



徒歩でターミナルに入ったら目の前はもう出口。
この公民館っぽい作りと匂い、どこかで見たことあると思ったら丘珠もこんなんだった。ここは丘珠よりもさらに規模が小さい。



ターミナルに貼ってある看板に注目。「2006.2.16 TAKE OFF 神戸空港」。干支が一周するまでよく残ってたというか、他に広告とかは入れないのか…
東京直行便は滑走路がもうちょっと伸びてからでしょうなあ。そのためには両端のどっちかの急斜面を埋めるか広島空港みたいに橋げたを建てるなりする必要があるけど。



離陸まで見送るので展望デッキに上がって待機。山奥の小さい空港には見合わないギャラリーの数、明らかにほとんどが伊丹から飛んできた乗客である。
あとよく見たらターミナルから出てきた伊丹行きの乗客の中にさっき向い合せに座ってた人を発見。それっぽい雰囲気だったけどやっぱり修行僧だったか。



独特のテール。APUがなくて灯火類が収められてる。
しかしあっちいな…セミみたいな大きさのスズメバチが飛んでて落ち着かないし。ありゃどう考えても刺されたらヤバい。



エンジンスタート。
ドアをパタンと閉めて…



さよーならー。
ここまで到着から30分。伊丹まで多く見積もっても30分。90分で伊丹から豊岡まで往復できるなんて。



南端まで行って離陸を待つATR。周囲の山深さがよく分かる一枚なんですが、暑くて陽炎メラメラでぐにゃぐにゃ。



思ったより離陸が遅くてちょっと後追い気味になったけどなんとか空バックで回収。
天草エアラインとJAC以外は導入する気配がないATR。長胴型のATR72は数年前に福岡ベースのリージョナルLCCリンクが導入する計画があったけど結局飛ぶことはなかったし、今後しばらく日本ではJACと天草合わせて10機だけのレアな機材となるでしょう。
と思ったけどHACのサーブの後継もATRになりそうな雰囲気だし、九州と北海道ではいっぱい見れるようになるかも。



ターミナルの玄関付近に置いてある火山弾。この辺りは玄武洞とか神鍋火山もあるしやっぱりこういうのが飛んできてるのかと思ったら「但馬空港の敷地内には火山があります」。マジで!?
20万年前に噴火したらしい。今となってはもう整地されてどこにあったか分かったもんじゃないけど滑走路の南端辺りにあったらしい。



建物の真横にいる元ANKのYS。YSを意識して見たのは初めて。高松空港とか所沢とか各務ヶ原とかにも同じANK塗装のYSがいるけどいずれも見た事ナシ。
でも小さい時伊丹空港に連れて行ってもらった頃にはまだJACのYSがいたはずだから、生きてるYSってギリギリ見てる可能性あるんだよな。



階段がついてるのでどうやらたまに中も公開してる模様。

ここにいるJA8734は1969年から1999年までANAグループで活躍した機体。日本の短距離路線で30年飛び続けたって長く持った方だと思うんですけどどうなんでしょう。



元はどっちも零戦だから当然ながら、ここから見ると同世代の0系とかと同じようなフォルム。
50年以上経って各々最適な形状に進化した様子はまるで生物の進化の過程。

ところで、空港から豊岡駅までのバスは伊丹からの到着便に合わせて運行されてるのでとっくに出発した後。
駅までは7kmの道のりということで、歩くには遠すぎる。そこで今回は朝のうちにタクシーを予約しておいた。駅までは3000円程度なので、3人なら一人1000円ほど。
ちなみに空港周辺にはタクシーは常駐してないし、タクシーが通りかかるような幹線道路もありません。事前に連絡しないと来ません。



20分ほどで豊岡駅に到着。キヤ143って初めて見た。

乗る列車までちょっとあるので、タクシーの車内で運転手さんに駅周辺で何か見れるところはないか聞いてみたけど見どころはどこも駅から遠いということで大人しく駅前のスーパーで待機。
この後しばらくコンビニとかがないところをうろつくので、今のうちに水分を買っとかないと高級自販機ドリンクを買う羽目になるから色々補給を済ませておきましょう。



車内で言われるまで忘れてたけど豊岡はカバンの街。駅の自由通路にも豊岡鞄が展示されてる。
奈良時代にルーツを持つ信頼と伝統の豊岡鞄、一人一つの鞄を大事に使っていた時代にはよく売れたそうで。今はどうしても目的別に使い分ける方が楽なので高いカバンを買う文化は廃れがち。
でも今使ってるリュックなんかは通学から旅行、運転会とかなりオールマイティーに使える。これさえあれば国内ならどこだっていけるからマジで便利。



ぼちぼち時間も無くなって来たのでKTRの改札から入場。自由通路に何の案内もなくてちょっと迷ったぞ。
こっち側にはDE15のラッセル車。全国的にもう駆逐されたものかと思ってたけど、あいの風とやま鉄道なんかはJRから譲渡されたのを普通に使ってるらしいし全然現役。まあモーターカーとかじゃパワー足りなさそうだしな。



JRのホームの端の柵で区切られたホームから発着するKTR。終点だけど自社線のホームは1本しかない。
宮福線はだいぶ前に乗り通してるので、今日は宮津線の未乗区間を一気に潰します。

・豊岡→夕日ヶ浦木津温泉 KTR709 11:00 普通 西舞鶴行き



急カーブの続く森の中を抜けて久美浜を過ぎると視界が開けて一気に車窓は日本海沿岸の様相。
雲一つない青い空が広がり、遠くに見える海。

日本海沿岸の車窓を見ると、中学生の時に初めて18きっぷで遠出した時に乗った小浜線の車窓に広がる青い空と海、緑色の田んぼと松並木の風景をいつも思い出す。
今写真を見たら当時実際にはそんなに晴れ渡ってるわけでもなかったけど、自分の中であの時の風景が美化されてなんとなく日本海側の原風景みたいに焼き付いてる。その鮮やかな風景がそっくり目の前で再現されててちょっと本当に感動してしまった。



感動してるうちに30分で夕日ヶ浦木津温泉駅に到着。小さな駅ながらホームに足湯があったから手を突っ込んでみたらめちゃくちゃぬるかった。暑い日にはちょうどいい温度かもしれない。

夕日ヶ浦という駅名に惹かれて来てみたかった場所。その名の通り、駅から少し離れた夕日ヶ浦海岸から見る夕日が美しいらしい。
木津(きつ)温泉は奈良時代に行基が発見したとされる歴史ある温泉。当時流行していた天然痘の被害を抑えたことから皮膚病に効く温泉と伝えられている。
勘違いしてたけど、駅前に数件旅館があるのが木津温泉で海岸沿いにあるのが夕日ヶ浦温泉でそれぞれ別物。夕日ヶ浦温泉は35年ちょっとの新しい温泉だった。



夕日ヶ浦温泉までは駅から徒歩15分ほど。
この辺りは温泉密集地帯。旅館がいくつも建ち並んでいるけど中には経営に失敗した旅館もあるのか「売旅館あります」の看板。売土地の看板はよくあるけど売旅館は初めて見たな。
是非湯快リゾート辺りに買われて復活して欲しい。どんな旅館か知らないけど。



砂浜に行けそうな道があったので入ってみるとちょっとした砂丘に出た。
そして奥の日本海はここから見ても凄い色してるのが分かる。こうやって見るとモロッコの海岸とか言っても意外とバレない気がする。はいモロッコにやって来ましたよー。ありがたいなあ。



波打ち際に行ってみると海水の透明度の高さに驚かされる。
冬の鉛色の荒れ狂う日本海と違って、ここに限らず夏の日本海は穏やかで澄み渡ってて本当に綺麗だと思う。



どこまで行っても澄み渡る水色。さっきモロッコって言ったけど海の色はどっちかというと沖縄っぽい気がする。モロッコの海の色をあんまり知らないので。



海辺に続く夕日ヶ浦・浜詰温泉の旅館街。夕焼けがさぞ綺麗なことだろう。次は是非泊まりに来たい。
これだけ夏っぽい風景なので、気が早い人達が浜辺にいるのが見えた。盗撮と勘違いされたらどうしようかと思ったけど幸い水着になるほど気が早い人達ではなかったのでセーフ。



砂浜は正直ゴミが大量に落ちてて美しくない。日本海側とあって中国や韓国から流れ着いたゴミも一杯落ちてる中、キリル文字が書かれたゴミがあった。
南から来る対馬海流があるからロシアからは流れ着かないと思ってたけど、たまには流れて来ることもあるらしい。これは多分医療機器の吸入器とかそのあたりなんじゃないかとの先輩の予想。確かに化学式みたいなのが描かれてるし。



しばらく海を眺めてから本命の「夕日ヶ浦温泉 外湯 花ゆうみ」へ。日帰り温泉と食事処がある外湯で、敷地内にはささやかなゴルフ場もある。
この辺で日帰り入浴やってる旅館が意外と少ないっぽいので貴重。



朝早くて腹が減ったのでまずは昼食を摂る。唐揚げ丼は1000円ちょっとで10個も唐揚げが乗ってる。しかも美味い。
漬物も美味しいし、ボリュームもたっぷりで燃料補給完了。大学生協のよりも高コスパなので大学生協を全部花ゆうみにしたらいいと思った。

食後はお楽しみの温泉。露天風呂もあるし、ちゃんと温泉してる匂いで大満足。露天風呂までの飛び石が日光で焼けて足が焼けるかと思った。
露天風呂に赤い物がいっぱい浮いてたので、建物の周りに植わってるバラの花びらでも入れてるのかと思ってよく見たら全部金魚のおもちゃだった。大量の金魚が茹で上がっちゃってた。
内湯にはぬるめのジェットバスもあったので日光に輝く水面を眺めてボーっとしてたら電車の時間が近づいてきて泣く泣く終了。海でゆっくりしすぎた。慌てて走って汗かいても面白くないしね。

・夕日ヶ浦木津温泉→丹後由良 KTR704 14:41 普通 西舞鶴行き



網野からはいったん丹後半島の付け根の山間部を走る。
この辺はデカ松ツアーの時に乗った区間で懐かしい。当時喋ってたのとアテンダントの尾根遺産に夢中で誰も車窓見てなかったけど。



天橋立で一気に乗車。
隣に止まってた113は福知山行。KTR線内完結の運用なんてあるのか。というか福知山の113/115って地味に残ってるけど狭い範囲でしか運用されてないし、むしろなんで残ってるのかよく分からない。



塩釜の街並みに似てるような気がする宮津を過ぎ、山を越えると栗田湾が見える。駅名にもなってる栗田は「くんだ」と読む難読地名。
鳥取~敦賀あたりの沿岸部はどこも山と海が複雑に入り組んでて車窓の変化に富んでいる。そしてご多分に漏れず、浅瀬では海底が見えるほど澄んでいる。なんかすげえ海藻生えてんぞ。

丹後由良で下車。駅の脇のただの用水路にいっぱい小魚とかオタマジャクシ泳いでてめっちゃ自然豊か。あと自然豊かすぎて蚊も大量に飛んでる。
目当ては由良川橋梁での撮影。次の列車が通過までそんなに時間がないのでちょっと急ぎ足で橋へ向かう。お、いっぱい観光客いるな…



構図を考える暇もなく1本目が通過。さっき木津温泉まで乗ったやつやね。



画面のほとんど青なのでカラフルな車体は映える。にしてもマジで空と海が青い。ここまで天気良いとは思ってなかった。期待以上の晴れっぷり。

数分差で西舞鶴行きのあかまつが通過するからどうやって撮ろうかと川岸をウロウロしてたら、なんか対岸の線路に黒い影が見えてきたのでこんな時間に列車あったっけ?と思いながら覗いたら…



お、くろまつ来た。時刻表に書かれてなくてノーマークだったけど運転日だったのか。これは嬉しい誤算。てか景色を眺めるために減速してめっちゃ遅い。遅すぎてイライラするぐらい遅い。撮り放題でありがたいけど。

ここの撮影地、由良川沿いに伸びる舞鶴方面の線路が見えるから列車の接近が早く分かるのでなかなか便利。逆からだったら不意打ち食らって逃がしてた。



そしてあかまつ。これってあおまつと連結してたイメージだけど今はやってないらしい。
そういや一昨年も後ろにコミューター車両がひっついてたんだった。あれ中身は何も弄ってないのかと思ってたらモケットとか床板とかを一応交換してるらしい。



暑いし飲み物も尽きてきたので、次の列車までの30分の間に近くのローソンに行って買い出し。明らかに由良川橋梁見に来た観光客で混んでる。今はインスタ映え効果とかもあるだろうけど、橋だけでこんな人来るって冷静に考えて凄くないか。

田んぼ越しに見える橋梁。水鏡は難しいけどこれはこれで絵になる。海辺で冬場とか潮風吹き付けそうだし土壌的に稲育つのかな?と思ったけど、日本海沿岸なら棚田とかいっぱいあるし大丈夫なもんなのかと納得。
どれぐらい海辺かと言うと、飛ぶ鳥は全部ウミネコ。山の方を見るとただの山間部の風景なので海鳥飛んでる風景はちょっと違和感がある。



釣り人が置いて行った釣り竿の向こうに見える島影。10km先の無人島、冠島が見える。
冠島には北側の沓島と共に1300年前の地震で大きな島が沈んだ時に残ったものという伝説があるけど、実際には島が沈むほどの大地震ではなかったらしい。
一方で島の周辺の海底にはには階段のような地形もあり、海底遺跡じゃないかとも言われてるらしい。実際二つの島の東側の海底には大きな断層崖があるので多少の地殻変動があってもおかしくはない気がする。



橋に寄ってコミューター車両。だんだん陽が落ちてきて側面が暗くなってきたけど、それでもこの時期なのでまだまだ明るい。冬ならもう山の向こうに太陽隠れてる頃でしょう。



再び30分の待ち時間。暇なので他に撮れそうなところはないか探すついでに橋の反対側へ。
こっち側は静かな漁港の様相。何もないし釣り人が点々といるだけの日本の海辺の原風景。



最後は普通のKTR一般色。KTRと言えばこの色のイメージなんだけど、ラッピングされたり観光列車に改造されて今では4両しかいない。
通過する間に望遠から広角に交換して側面も…と思って準備してたけど、ちょっと手間取って間に合わず。次は内陸の橋を俯瞰できるポイントから撮ってみたいな。その時はさすがに車利用だな。



駅に戻る途中で見るだけ見に来た酒蔵の並ぶ街並み。ここが東方オタには言わずと知れた白嶺酒造。



事前に申し込めば酒造の見学もできるし、17時までは横のカフェもやってるんだけど既に17:20。まあ分かって来てたのでこれも次回に持ち越し。

一しきり写真撮って駅に戻ろうとしたら、通りかかった酒造の人に見学しそびれた人だと思われて「まだ行けますよ」と準備してもらいかけたけど、列車の時間が近いしさすがに申し訳ないので丁重にお断りしておいた。
でも予約も何もしてないのに準備してくれようとする気遣いが嬉しかったので「次来た時は見学させて頂きますね」と言っておいた。次来る時は是非見学させてもらおう。そして白嶺ロールを買いに来ます。



すっかり夕方の雰囲気となった丹後由良駅。このミラーは明らかに元々こんな向きを向いてたんじゃないと思う。
車掌向けに設置されたのがワンマン化された時に用済みになったとかじゃないかと思うけど、何故撤去ではなく根元からねじ曲げたのか、誰が曲げたのか。謎は深まるばかり。



周辺の観光マップにもハクレイ酒造。地酒ソフトクリームが美味しいらしい。あくまで地酒ではなく地酒ソフトクリームらしい。いや、ハクレイ酒造さんの地酒も美味しいと思いますよ?



木津温泉駅なんかは既に交換設備が撤去されてるけどここはまだ現役。上下それぞれの列車が終日ホームを使い分けてるだけ。
こうやって見ると豊岡方面のホームの反対側にも線路跡っぽいのがあるな…ホームは埋められてるけど。

今はくろまつ以外の全列車が停車するっていうから凄いと思ったけど、この区間って今特急走ってないんだった。
昔はあさしお、その後はタンゴディスカバリーが走ってたし今でも普通列車に特急車が充当されたりするから走ってそうなイメージあったけど、もうJRからの直通特急は走ってない。
てか、あさしおとか東舞鶴行きも城崎行きも米子行きも山陰線経由も宮津線経由も全部同じ列車名とか訳わからん。
山陰線電化の時にさすがに系統別の列車名が付けられたけど、それでも2011年までタンゴディスカバリーは東舞鶴行きと豊岡行き(宮福線経由)と宮津線内完結列車があったし、北近畿の特急のごちゃごちゃ具合って最近まで残ってたんだな。

・丹後由良→西舞鶴 KTR701 17:34 普通 西舞鶴行き



さっき撮った由良川橋梁を今度は列車で。来た時から撮影地の前にインプレッサおんなあと思ってたけどまだ停まってた。多分釣り人。
夕日の射し込む車内は眠気を誘う。でも西舞鶴までは20分ほどで着くから寝てる暇はない…丹後由良もそうだけど天橋立って思った以上に舞鶴に近いんだ」。



すぐ到着。なんか駅舎の写真見て勝手に高架駅かと思ってたけど普通に地上駅だった。横には車庫もある。

これにて宮津線、というか宮豊線と宮舞線は完乗。同時にKTRも完乗。
宮豊線とか宮舞線という路線名もまだ慣れないけど、それ以上にWILLERがやってる鉄道ってのもイメージが湧かない。WILLERってバス会社でしょう?電鉄系バス会社はどこでもあるけどバス系鉄道って。



福知山同様HMが駅のフェンスに引っ掛けてある。盗まれないのかと心配になる。
これ福知山でもやってるしKTR特有だと思ったけど、富山地鉄も富山駅でやってたな。



駅をいったん出て車庫を見に行ってみる。
駐車場と低いロープのみで仕切られた検修庫。それどころがロープすらない所もあって入ろうと思えば自然に入れる(※入らないでください)
車両までの距離も車両基地公開イベントのような近さ。てか横で普通に作業やってるし。イベント時以上に身近に車両基地の雰囲気を感じられる。



そしてお目当ての車両は一番奥に。遠目には夕日に輝いて綺麗に見えたけど、近づいてみると・・・

全編成が「丹後の海」としてリニューアルされてJR直通特急として活躍を続けるKTR8000とは対称に、タンゴエクスプローラーが廃止されてからは自社線内のみの運用となり、その運用もすぐに失ったKTR001形。
2本のうち第2編成は臨時でたまに動いてるし実際先月も走ってたけど、手前の第1編成は部品取りになって自走不能&車体もボロボロ。多分二度と動くことはない。

第2編成は都合3回乗ったことがあり、第1編成も1回だけ乗ったことあるけどもはや見る影もない。あとどっちの編成も何故か至る所で窓にひびが入ってた。日本だから投石ではないと思うし温度変化のせいか?



反対側。前後でジャンパ受けの位置が左右逆になってるのに今気づいた。北方貨物線で反転しても連結できるようにってことかな?
塗膜が浮いてぶくぶくになってて痛々しい車体。列車ってのは雨ざらしで放置されるとたった5年でここまで傷むんだ。

毎回これが最後だろうから…と言って今回で3回目の再会だけど、なんだかんだあと1回ぐらいは見るかもなあ。
ちょうど山の向こうに夕日が沈んで急に冷たい風が吹いてきたのでそろそろ駅に戻ることに。走ってる姿をまた見られるだろうか?



ここからは家が遠い先輩後輩とは別れ、一人でもうちょっとだけ旅を続ける。
山陰線の未乗区間を潰しがてら丹後の海で京都へ。タンゴディスカバリーは乗ってみたかったけど結局原型時代には乗れなかったので初めて。

・西舞鶴→京都 KTR8015 18:43 特急まいづる14号 京都行き 7A



水戸岡デザインとなったタンゴディスカバリー。木を多用した内装はいつも通りだけど、元々窓が小さいおかげで木の面積が増えて落ち着いた印象になって割と似合ってると思う。なんというか253系っぽい窓配置。
座席は概ね快適だけど、腰のところが飛び出てて当たるのだけ気になる。287系とかと同じ座席だったら最高だった。

この編成は最後まで原型を保ってた編成。てか去年まで原色のディスカバリーいたんだ。じゃあ乗る機会あったやん…
かつ8010番台は183系と併結装備を持たない番台。全部の編成が連結できたわけじゃないらしい。



混んでるわけでもないし、特急型とあって振動や騒音もなく静か。
車窓に流れる水の張られたばかりの水田は地上から見ても美しい。この時期の田んぼは昼に見ても夜に見ても絵になる。
綾部でしばらく停車して多少の衝撃と共にはしだてを連結。連結するの忘れてたのでちょっとびっくりしたのは秘密。



6両となって山陰本線へ。綾部~亀岡は初乗車区間。しかしなんもないな…人家はないし延々森。線形も悪いのかスピードもそれほど出ない。
と思ったら、園部を過ぎて一気に加速。沿道を走る車をバンバン抜いていく。ほとんど最高速度の120kmぐらいは出てるんじゃないのかと思う。

亀岡を発車し、トンネルを抜けると見覚えのある踏切が見えて一気に京都の風景。
二条を出ると北海道の特急と同じチャイムが流れて京都まではすぐ。北海道チャイムが聞ける列車って本州では多分ここだけだし、手軽に北海道気分を味わえて楽しいのでちょいちょい乗りに来たい。



降りるときにラウンジも見ておく。改造前よりも座席1つ分広がってる。
にしても原色の塗装と言い設備と言い車体断面と言い、同世代の283系と通じるものがあるな。どっちも観光地へのアクセスを目的に作られた列車だし。



京都に戻って来た丹後の海。ちなみに西舞鶴~京都の特急券は970円と割安。三ノ宮からスーパーはくとで京都行ったって同じぐらいするのに。



そういえば京都駅に夜来ることってあんまりないなと思って京都駅ランドスケープ。ここに限らず人が多いのはもうどうしようもないので…

帰りも余韻に浸りたいのでサンダーバードでも乗って帰ろうかと思ったけど、良い時間に列車がなかったし大阪から新快速乗っても座れないので普通に新快速に乗って帰宅。久しぶりにJRで帰ったらなんだかんだ遠いし、グリーン車かライナーがあったらなあ…とか思ってたら数日後、マジで着席サービスをやる話が上がって来てびっくりした。早いとこお願いします。

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